お彼岸が来るときまって前栽の片隅で、柔らかな日射しを垣問見るように20センチ位の丈でひっそりと俯き加減で薄桃色の花が30本程度群れて咲く。
その名を嫁いで早々に主人の祖母(おばばちゃんと呼んでいた)から伺ったのに忘れてしまった。
けれど毎年春を告げて咲いた。
今春隣り村で博学の士が「お寺には珍しい花があるんですね」とわざわざ幽**邊**の姿を撮しついでに名も教えて下さった。
33年ぶりに聞かせて頂いた花の名前は狸狸袴(しょうじょうばかま)。
美しい響きの呼び名と共に、いつもにこにこして可愛がって下さったおばばちゃんの顔が浮かび、一緒に山へわらびやぜんまいを取りに行った事などを想い、無性に懐かしく逢いたくなった。