今年も又八月が、日本に終戦の日が巡る。あれから六十一年・・・
私も一少年飛行兵として、八月二十八日には厚木航空基地に、マッカーサーとその進駐軍を迎える歴史の一頁の中にいた。早朝より分刻みで飛来する大型輸送機、続々降り立つ米軍、初めて目にする兵員輸送車、ジープ、リフト車・・・。広大な飛行場をたちまち埋め尽くしゆく近代化された米軍の全容。今でもその時のカルチャーショックは忘れる事が出来ない。
その頃、私達の隊ではいろいろな噂が流れていた。若い男は中国へ連行され重労働させられるとか、多額の賠償金を払わねばならぬとか、敗戦国の日本の未来に不安がいっぱいだった。ところが中国よりのニュースで、日本軍の捕虜全員の即刻送還と日本よりの賠償を放棄するというのだ。二十年近く日本に人的にも物的にも多大な損害を受けた中国の、この寛大な決定に信じられない感動と驚きを受けたものである。今でも忘れられない、いや忘れてはならない事と思っている。