祖母の想い出

 幼い頃の記憶をたどると、大好きな祖母と過ごした日々を思い出します。
春には祖母が大好きであった山菜を早起きしては2人で採りに行ったり、小さな茶畑があったので大きなカゴに摘んで自家製のお茶を作ったりしました。夏の就寝時には今では見かける事もなくなった蚊帳を吊ったものです。蚊帳の端を持ち、フワフワと扇いで、「1、2の3」で勢いよくもぐり込み、祖父母の真ん中で寝るのが楽しみでした。秋には、おやつに作りたてアツアツの“さつまいも入りおやき”を食べさせてくれ、フカフカと甘くて美味しかった味が今でも忘れられません。祖母の忙しさに気がつかず、よく催促していたものです。冬には2人で布団作りです。縁の間で真綿を布団の大きさに広げ、綿を挟み込み、生地をかければ手作り布団の完成です。温もりがあり優しさがありました。
高価な物はないけれど、どれもこれも楽しかった想い出で、私には最高級の物ばかりです。祖父母の想い出はずっと大事に心の奥においておきたいものです。