『エミコサン、ムアライジャマータイ」懐かしい声が耳にとぴこんできたのは1月の末。
会社の研修生として日本に滞在し、彼女が帰国してから5年もの月日が経っているのに、まるで隣町に住んでいるような錯覚をおぼえる。
来日した当時は「サムイ、サムイ」を連発、毎夜、故郷を想い枕をぬらしていた彼女。そんな彼女が花嫁姿をみてほしいという、
けっして安くはないであろう国際電話をあえてかけてきた彼女の気持ちを想うと胸が熱くなってくる。
「カエリタクナイ」と言って大粒の涙を頬に伝わせながら私の胸に頬をうずめたのが昨日のことのように思い出されてくる。
いつの日かタイ国を訪れ、彼女との再会を喜びたいものである。